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本という文化財
2、3週間前に日本から友人が遊びに来てくれました
その時に、「友達がガーデニングを好きなので、本をお土産に買って帰りたい」と言われ、
最後の日の夕方に近所の大型本屋さんに足を運びました
店舗は空っぽ、、、
そしてその本屋の他の支店へ車を走らせると、そこももぬけの殻、、
ここで夫と私、少し前に読んだニュースを思い出しました
Bordersという大型店が、AmazonやEBookのあおりを受けて、
店舗を持ち続ける事が難しくなり、30%の店舗を閉め、オンラインでの販売にシフトしていくというものでした
サンフランシスコ内にあった3店舗のBordersの大型店は閉店
勿論、小さな街角の本屋さんも沢山存在するサンフランシスコです
でも、Bordersのような大型店ができた時に、この小さな街角の本屋さん達はどんなあおりを受けたのでしょうか?
もしこの小さな本屋さん達が、街の人のサポートも無く、
また生き残っていこう「本を手にできるお店を残さなくては」という努力をしなかったら
今日、この大型店が街から消えた時に、私達に本屋は残らなかったかもしれません
便利である事、安価である事、テクノロジーの発展
勿論、資本主義経済の中で、消費者が、そうした根拠の元に何を買うか?を決めるのは最もなのですが、
では、そうして、ただただ、企業の競争を背景としているところで、
消費者が安易に値段だけ、便利さだけで物やサービスを購入し続けたら、
この先、本屋だけではなく、多くの物、文化が失われていってしまうと思います
話は、2,3日前に戻りますが、夫の会社、そして我が家も個人として長年サポートしている
サンフランシスコ発の芸術的な手作りの本を出版しているArion Pressの春恒例のFundraisingに行ってきました
アンドリューさん、今年、Publisherとして仕事を初めて50年を盛大にお祝いしたばかりです
Fundraiserでは、Arion Pressの中全てが見学できます
何十年も働いて来た人から昨年入って来た若い女の子まで、一人一人が本を作る行程を担っていて、
ゲスト達に、丁寧にどのように本が作られていくのか説明してくれます
機械は使いますが、コンピューター化されてはいません
全てが手作業
機械が壊れれば、それを直して使わなくてはいけません
Arion Pressは世界でもまれに見るフォントコレクションを持っているので、世界中からこのフォントのオーダーが来ます
そして、Arion Pressはアメリカで唯一のフォントの鋳造をしているところでもあります
昔ながらのMonotype(活字を 1 字ずつ鋳植する機械)をまだアクティブに使いこなしている唯一の場所でもあるのです
(詳しくはこちら)
こうして聞くと、なんだか、ちょっと古くさい本を出版しているように聞こえるかもしれませんが、
でも、アンドリューさんが考案し、デザインし、アーティストとのコラボレーションあり、
作り上げる本達は決して古くさくはなく、コンテンポラリーであったり、常に新しく斬新な本が作られている訳です
中にはカバーには、アルミニウムが使われていて、
オリジナルの版画が挿絵として、一枚一枚はられているような本もあります
まあ、でも、全て手作りなので、年間何冊作れるか??これにはちょっとリミットがありますね
アメリカで唯一、オリジナルのフォントを作れるファクトリー
そして、表紙から、紙を閉じる作業までの手作業
これらが消えてしまったら、いつか本当に、古書かEbookしか手に入らない時代がくるのではないでしょうか?
現に、この夜のアンドリューさんからの報告では
NYの図書館を始め、いくつかの長年Arion Pressをサポートして来た団体が、昨年でサポートを打ち切ったという事です
経済的に厳しい時代
でも誰かが、こうした文化財を残していく為に意識を持ってサポートしていかないと、
いつか「あれ?本屋って昔はあったよね?」という事では済まない時代がやってくるとは間違いないでしょう
でも、出席してくれた友人とも話していたのですが、
「では、このArion Pressが商売として成り立っていけるのか?」という事も避けては通れない話題です
この辺り、もう少し煮詰めて、色々考えて書いてこうと思います
Arion Pressについては、こちらから
http://www.arionpress.com/
予約制で全ての行程などを見学できるツアーもありますよ
http://www.arionpress.com/tours.htm